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Impromptu 純子の思いつくままに
  ≪やれやれ・・・≫ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2005年9月8日 記 

  8月は日本に戻っていたのですが、その暑いこと暑いこと。年々着実に亜熱帯気候に近づいている、という思いが帰国するたびに増していきますね。知人から"また聞き"したことなのですが、外資系会社では海外から日本駐在になる場合、「熱帯手当て」なるものが支給されるのだとか。ホントか!? 当地に居住し、汗だくで働いている日本人には、自分たちが「熱帯地方」に住んでいる、なんて自覚などないでしょうに・・・いや〜、オドロキです。

でもこのまま更に気温・湿度とも上がり続けるなら、ライフスタイルをすっかり「南洋型」に切り替えないとやってけませんよね。まずはシエスタを取り入れ、昼寝習慣を定着させ、さらに、<クールビズ>どころか、アロハに短パン、ムームーってところでしょうかね。

『天国に一番近い島』−と書かれ、話題になったというフランス領・ニューカレドニア島ヌーミアに降り立った時の、あの身体全体が溶け出してしまいそうなムァ〜っとした言い知れぬ暑さ・・・イラストレーターの柳原良平さんが"あまりの暑さに腹が立った"と話しておられたけれど、私なんか腹立てる気力も起きなかったです。あの町の人たち、みんなムームーを着てダラダ〜ラ歩いてたなぁ・・・ホテルのクーラーも突然勝手に止まったりして、そうすると汗腺という汗腺から汗がダァーっと噴出して、何もかもがカッタルクテたまらなかったことを思い出してしまいました。やれやれ・・・

何はともあれ、日本滞在中は演奏・仕事に使うエネルギーを供出する以外、他になぁんにもしたくなぁ〜い、ごめんね・・・なんていうマイナス思考で過ごしてしまったから、『思いつくままに』まで、しっかりとお休みしてしまいました。だから今回は2回分をお届けします! 元気のある方は続けてどうぞ。

≪綸言(りんげん)汗の如し・・・≫ 

9月5日は Labor Day。アメリカでは、9月第一月曜日を機に夏に別れを告げ、仕事場に復帰するのです。いつもなら"サマー・バケーションの締めくくり"−とばかり、この週末はホリデー気分に溢れているのですが、今年はハリケーン・カトリーナ(Katrina:なぜか女性名がハリケーンに付けられることが多いんですよね)によるメキシコ湾岸一帯の大被害にアメリカ中が揺さぶられてしまいました。

日本でも恐らく詳しい報道がされていることと思いますが、大した脅威でもなかったはずのカトリーナはフロリダ半島を横切ってから一旦、最大級であるCategory 5(1〜5まであり)にまで勢力を強め、ニューオリンズ(ルイジアナ州)を直撃。最大風速135マイル(200Kmぐらい?!)という前代未聞の超大型ハリケーンとなって大暴れ。堤防は次々と決壊し、ニューオリンズの約80%が最上6メートルもの水に覆われることになりました。9月8日現在の報道では、死者を収容するためのバッグが25,000個も用意されているとのこと。直撃から1週間過ぎ、やっと水が引き出したといっても未だ町の60%は毒性のケミカルやガソリンが流れ込んだ汚染された水に浸されており、バクテリアによる伝染病や西ナイル病原菌をもった蚊の大量発生が危惧されて・・・と、災害の余波は留まるところを知りません。避難しなかった市民10,000〜15,000人が今でも汚染した水に囲まれて生活しているとも言われていて、彼らの強制退去の必要性はいっ時をも争う状態だとか。被災者が取り残されていないか、一軒一軒をボートで廻る警察官や兵士を映し出すTVの画面は、"これが世界一の先進国で起きていることなのだろうか"と目を疑うばかりです。略奪者の集団もいる−という報道もあり、秩序維持のために、ニューヨーク市警から300人もの警官が現地の警備援護のために出発ました。

海面より低い土地柄のニューオリンズを、もし大型ハリケーンが襲ったら一体どれだけの被害が起こり得るか、という予想は事前から専門家によってシュミレーションされていたそうで、直撃することが確実になった段階での予防処置(堤防の強化、住民の避難方法の確立など)が何ひとつなされなかったこと。また、ルイジアナ近辺に常置されているべきナショナル・セキュリティ部隊の大半がイラクに派遣されていたため、救援部隊の確保にひどく手間取り、死者の数が増大したとも言われています(もちろんブッシュ大統領は否定)。また、FEMA(Federal Emergency Management Agency:連邦政府の災害緊急対策機関)は、ブッシュ政権の下、予算を大幅に削られて殆ど役立たずになっているとか。FEMAのディレクターは災害後のインタヴューで"こんなに大きな被害が出ることは予想外だった・・・"という情けない受け応えをしている始末なのです。

連邦政府(ブッシュ政権)の、この大災害に対する対処の悪さには非難が集中していて、あまりの批判の多さにやっと本腰になって事態収拾に取り掛かった感がありますね。もっとも何処かの首相にも、ゴルフしてたから対処が遅れた−なんてことがあったかも・・・。

幸いにも日本をも含む世界各国から、また、心ある市民からの救援・支援が続々と届いていますが、復興にはどれだけの歳月と費用が掛かるのか想像も付きません。被災者の皆様、犠牲になられた方々には心からお見舞い申し上げ、追悼の祈りを捧げさせて頂きます。

ところで、NYタイムズ紙に掲載された記事を読んで腰が抜けそうなぐらい驚いちゃいました。なんでも、惨事から4日も経ってからやっと現地を訪れたブッシュ大統領は、ある小さな会合に顔を出し、そこでの第一声が"いや〜、ニューオリンズには昔よく来て、パーティをしたもんだ・・・" (ニューオリンズ出身の政治家の家も被害にあったと聞き)"前のより立派な家が建つさ。そしたらそこのポーチに坐ってみたいもんだね・・・" え〜っ!?あなた、本気でそんなこと言ってるの? こんな無神経な反応を聞くと、もしかすると、この人、ほんとにダイジョウブ???・・・って思ってしまいます。一体なんなんだ、コレ? NYタイムズ紙には"He never gets it."−彼には事の大きさ(悲惨さ)が全く分かっちゃいない−と書かれていましたっけ。

この話を知人にしましたところ、≪綸言汗の如し≫って知ってる?−という返事が返ってきました。"君主が一度口にした言葉は、汗のように二度と引っ込めることはできないんだよ。その資質に問題ありじゃないかなぁ・・・" ウ〜ン、まったく同感。他人の痛みを自分ごとのように感ずることができる人格者でなければ、人の上に立つことは許されないと思うのだけれどなぁ・・・。


エッセイ集
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2005/06/08:
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2005/05/07:
もう、なんと腹立たしい・・・!!
2005/04/15:
さくら?
2005/03/20:
<The First Day of Spring>
2005/03/17:
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2005/03/10:
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