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Impromptu 純子の思いつくままに
  <St. Patrick's Day>モロモロ・・・ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2005年3月17日 記 

  今日3月17日は<St. Patrick's Day>という、アイルランド人のお祭り日なのです。

この日は1,500年ほど前にウェールズ地方に生まれた、セィント・パトリックという聖人の命日で、彼はアイルランドにキリスト教(カトリックでしょうね)を広めた人物。街にはアイルランドのシンボルであるShamrock(三つ葉のクローバー:キリスト教でいうところの三位一体=父なる神、神の子・キリスト、聖霊=を表していると言われる)や、やっと芽を吹いたばかり・・・という風情がとても愛らしい、ミニ・プラントたち、そして、アイルランド民話に登場するレプラコーン(Leprechaun)と呼ばれる、いたずら好きの小さなオジサン妖精(なぜかグリーンの服を着た靴屋の格好をしている!)の人形などがあちらこちらに飾られて、街全体が緑色に染まったような錯覚に陥ります。季節的にも春目前ですから、花屋の店先に溢れる、やわらかな若草色に気分もウキウキしてきますよね。ところで、緑色は"アイリッシュ・カラー"だと信じていたのですが、今朝のCNNニュースによると、緑色はアイルランドでは<不吉の色>なんだ、って言うのですから、まったく訳分からんのじゃ・・・。このお祭りが公式行事としてアメリカで初めて行われたのは1737年のボストンで、だとか。

一昨日、一足早く友人宅での"Traditional Irish Dinner"に招かれたのですが、お皿の上を赤い色のコーン・ビーフ、付け合わせとして、それは〜〜きれいな緑色に調理された芽キャベツ(Brussels sprouts)、そして白いマッシュポテトなどが見事に彩り、簡素な中にも、栄養のバランスがよく考慮されている−という印象でした。

アメリカ合衆国にはアイルランドからの移民が、北東のニューイングランド地方やニューヨークに多く住んでいるようです。CNNニュースで耳にしたのですが、なんでも北アメリカには34ミリオンのアイリッシュがいるそうで、でも自国・アイルランドの人口はその10分の1・・・わずか3・4ミリオンなんですって!移民としてアメリカにやってきたアイリッシュは一般的に貧しかったけれど、頭脳明晰にして勤勉だったために、後に大成功して富豪になった人々もかなりいます。代表としては、アメリカ大統領・JFKを輩出したケネディ家が挙げられますね。

でもなぜか世間一般には、彼らは大酒呑みで、一本気で、馬鹿げた言動をする−というイメージが強くて、それらを挙げ連ねた"アイリッシュ・ジョーク"なる本が巷に出回り、人気を集めているのです。私のアイリッシュの知人たちには、すごく生真面目(だからジョークの対象にされるのかな?)で情が厚く、大変な善人が多く、女友達・シャーロンなんて、世の中の不正を耳にすると目を吊り上げて本気で怒っています。ブッシュ再選の時なんか大変でしたよ。しかし考えてみると、確かにみんなお酒が好きだし、強いかもしれないなぁ・・・マンハッタンを歩いていると、其処かしこに「Irish Pub」(居酒屋)が目に付きますしね。

・・・と、こんな長閑(のどか)なことを書いていますが、実のところ、3月13日(日)付NYタイムズ紙のトップ記事を読んで、ブッシュ政権の横暴さに又またひどく傷ついているんです、私・・・。<Under Bush, a New Age of Prepackaged News>という表題で、何枚もの写真とともに大々的に報じられていました。

内容は、と申しますと"過去4年来、ブッシュ政権下では国務省・国防省を含む連邦政府の機関の手による「捏造(ねつぞう)ニュース」がTV用に、 "prepackaged, ready-to-serve news report" として次から次へと製作され、地方放送局を通してアメリカ全土に放映されている・・・それらの全ては、テロ対策、イラク戦争、アフガニスタン、環境問題、その他の重要事項に対し、現政権が如何に優れた仕事をしているか−というプロパガンダとして、また、政府の失態をカバー・アップするための手段として使われており、こういった政府の広報活動のために注入された金額は254ミリオン・ドルにも上り、クリントン政権時のほぼ2倍にあたる・・・多くのビデオ・テープは実に巧妙に作られており、あたかも「本物」のニュース・リポーターによるインタヴューや記録であるかのようにニュース番組内に組み込まれている・・・地方放送局は放映に当たり、そのニュースの真偽について調べることも、また、ニュースの出所元がどこであるのかを視聴者に伝えることもせず、予算削減のための「安上がり」な情報入手の道として、政府によって準備されたテープをそのまま放映し、与えられた文章をただ読むだけ・・・政府からお金を貰い、政策を擁護するような記事を書くコラムニストが数多くいる−という事実が最近に明るみに出て、ワシントンDCは震撼している・・・報道に携わる側の倫理観、信頼性が危うい・・・"といったモロモロでして、なんだ〜〜〜これは!

NYタイムズ紙が反・ブッシュ、左寄り(リベラル)だから−と批判をするだけで、記事を読もうともせず、真実を見極めようとしない人種が増えてきてはいるけれど、ここまで人々の心根が腐ってきてしまったら、一体どうしたらいいんでしょう・・・もちろん多くの良識ある人たちは一生懸命に「不正」と闘っているけれど、アメリカという国を、そして其処に住む善良な市民を欺き、しかも世界そのものを「おもちゃ」のように弄んでいる人々は、ますます巧妙な手口を使って身を守ろうとするのでしょうね。

私の好きだったアメリカがどんどん崩れていく・・・一部の偏った信念ばかりがまかり通り、"与えられた情報"を自ら喜んで鵜呑みにしていく人たちが何と多いことか・・・悲しいなぁ。


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