Junko Ohtsu Official Web Site
Home Profile Schedule Discography Impromptu Impromptu Impromptu
Impromptu 純子の思いつくままに
   <〜アメリカ便り〜> ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2004年12月14日 記

  2004年もあと僅かとなりました。みなさまも年末を前に、お忙しい日々をお過ごしのことと思います。

こちらは昨日から本格的「冬将軍」の到来で、ニューヨークの気温は華氏32度(摂氏0度)まで下がりました。でも空は抜けるように青く、太陽が眩しいほど・・・空気はcrisp(お肌がパリパリ?とするぐらいに爽やか・・・キャー、結構こわい!)という表現がピッタリするようなお天気なのです。風が吹き付けると身体中に寒気が凍みこんでくるのですが、マフラーやぶ厚いコートでグルグル巻きになって足早に歩いていると、そんな寒さなんか何処かへ吹っ飛んでいってしまいます。予報では、明日の明け方は零下を記録するそうで、この寒さはあと2,3日は続くもよう・・・。

久し振りに東京から戻ってみたら、留守の間にアパートに新参者が侵入していてビックリ。Carbon Monoxide(一酸化炭素)探知機という代物です。なんでも11月1日より、各アパートへの設置がニューヨーク市で法律化されたのだそうです。私のアパートのある建物もそうですが、マンハッタンにある殆どの住宅用ビルディングは暖房用に石油を使っているので、きっと不燃焼が起きたりすると、知らない内に中毒にかかってしまう可能性があるのかもしれません。届けられていた書類によると、毎年かなりの人数の人々が一酸化炭素中毒で亡くなっているのだそうです。日本では炭火や練炭による一酸化炭素中毒についてのニュースを耳にすることは時折ありましたが、こちらに住んでいて、そういったことを考えたことがなかったのです。でも思い返してみると、何年か前に有名なテニス選手が友人宅に招かれ、別棟になっているゲスト・ハウスに泊まったのですが、翌朝なかなか起きてこない。心配した家人が様子をみにいったら亡くなっていた。原因は冷暖房機から漏れていた一酸化炭素だった・・・なんて恐ろしい話がありましたね。たまたま、その家の方は私もちょっと存じ上げていたこともあって、とんでもない事故に驚いたものでしたが、"匂いも無ければ、色も、味も無い・・・気づいた時はすでに遅し"ということですから、探知機設置はいいアイディアかもしれません。寒いから、と暖房をガンガン入れてる内に、いつの間にか人生を終えてしまっていた・・・なんて未だチョット困るんですよね。

ニューヨークはもうクリスマス一色です。様々な大きさのクリスマスツリー用モミの木がここかしこの街角で売られていて、その前を通るとモミの木独特の爽やかな"緑の香り"に包まれ、なんとなく幸せな気分になります。昼間にミッドタウンまで出掛けましたら、家族連れの旅行者やクリスマスの買い物客で溢れかえっていました。まるで渋谷! 普段のマンハッタンはこんなに大混雑じゃないのですが、ベビー・ブーム(アメリカは9・11テロ以降、結婚ブームが起きたのだそうです。それまでキャリア志向で家族を持つことは二の次・・・と考えていた世代が人生について再考しだしたのだとか。日本から見ると羨ましい現象かもしれませんが・・・)を反映してか、乳母車を押しながらウインドーショッピングをしているママたちが多くて、ボンヤリ歩いていると乳母車と衝突してしまいそう。街中がきれいに飾り立てられて、お店はクリスマス・セール商品の山、郵便局には夜8時になってもプレゼントを詰め込んだ箱や袋を抱えた人たちの行列・・・(そういえばクリスマスの日までに地方の家族たちにプレゼントを届けようと思ったら、明日までに郵便局に駆け込まなくてはならないのでした)。誰にどんなプレゼントを上げたらいいか、あぁ、この人にもあの人にも・・・と頭を痛め、そのうえ出費もかさむので、『クリスマス症候群』みたいな病状に悩まされる人々も結構いるんだそうです。一緒にクリスマスを祝える家族がいなかったり、経済的に窮している人々には"憂鬱で恨めしいシーズン"と映ることでしょうね。私だってニューヨークに留学して間もない頃は、ホリディが訪れると親元に帰省してしまうアメリカ人学生を横目に、帰る場所の無い、そこはかとなく淋しい思いを抱えたこともありましたから、そんな気持ちはよ〜く分かるような気がします。それでも、この華やいだ空気に人々の足取りはウキウキしているし、活気に溢れた街はやっぱり魅力的だな・・・なんて考えながらセントラル・パークの脇を通ったら、大きく膨らんだ透明のプラスティック・カバーが目に止まりました。なんだろう、と視線を向けたら、中に人が入っていたんです。ストリート・ピープルと呼ばれる人の、寒さを凌ぐための一案だったようですが、今のブッシュ政権によって創りだされている「富と貧の両極端」ソサエティの現実−を目の当たりにした思いでした。

(ブッシュ再選後のアメリカの様子については次回に・・・)


エッセイ集
Impromptu TOPへ 2004/11/28:
アラスカクルーズ
2004/11/01:
米・大統領選
2004/10/05:
オッチョコチョイ
2004/07/07:
万之丞さんのこと
2004/05/--:
6月6日は紀尾井ホールへ
2003/02/--:
チャップリンのアメリカ
2002/08/06:
混乱
2002/06/25:
The first day of summer