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Impromptu 純子の思いつくままに
  <お久し振りです!> ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2011年12月31日 記

  すっかりご無沙汰いたしました。お元気ですか?
冬時間の現在、日本とアメリカ東海岸の時差は14時間。このエッセーを何が何でも、こちら時間の“年内”に仕上げようと、ただ今奮闘中で〜す(笑)。“ご無沙汰分”だけ長くなりますよ〜、ご覚悟を!ウフフ

東日本大震災のみならず、世界を大きく揺るがす出来事が次から次へと襲った2011年・・・最後の最後まで予断を許さない一年でした。何よりも、これまで以上に時間が猛スピードで過ぎていったことに“恐怖感”をおぼえます。マイッタ、マイッタ・・・ 新しい年には、少しでもいいから喜びや平安が訪れてくれるよう祈り、また自分でも納得いく一年にしていきたいと思っています。思いがけない事ばかりの連続パンチが私の中に眠っていた何かをようやく揺り起こした(アッハハ、随分と よく眠ってこと!)みたいで、今まで実現せずにいた「夢」を少しずつでいいから開花させていきたいな、と真剣に考え始めています。ウ〜ン、時すでに遅かりし・・・とならなければいいのですけれど、ね(笑)。
皆様の2012年の“抱負”はいかがですか?

長年私が活動を続けていたピアノ三重奏団、 Ecco Trio(エッコ・トリオ)のピアニスト、コレットは3年前にNew York を離れ、現在オースティンにあるテキサス大学で教えています。チェリストのエヴリンは、ワシントンDCの隣州の、メリーランド大学で教鞭をとっているので、嘗てのメンバーは今や三人三様の生活をするようになりました。 アンサンブルを組むというのは中々難しいもので、音楽的に気持ちが通い合う必要があるのはもちろんですけれど、人間的にもウマが合わないと長くは一緒に活動できません。 その点、Ecco Trio はラッキーな出会いをし、いい人間関係を築けたと思います。当然ながら、何から何まで意見が一致していたわけではないけれど、互いを敬愛し、尊重できる仲間であったことは人生の大切な宝物のひとつとなっていて、いまだに心置きなく話し合える仲良し友達なのですから嬉しい限りです。

“また一緒に集まって演奏したいね”−と話をしてはいたものの、一度それぞれの生活パターンが出来上がってしまうとスケジュール調整も大変で、年月だけが流れて行ってしまいます。でも、年明け早々の1月15日、フロリダの美術館で予定されているコンサートに三人が久しぶりに結集できることになり、まずは最初の“夢”を実現!(ちらしはこちら)やっぱり<望むこと>は夢を叶える一歩なんですね。

West Palm BeachにあるNorton美術館で開催される展覧会に合わせて、私がプログラム企画を任された室内楽コンサートなのですが、今回は<Women Composers Now and Then> と題したテーマ。英国人女性アーティスト、Jenny Saville(ご本人がインタビューで“美しく、心地よい絵画を描く欲求なんか最初から私の眼中にはない”と語っていましたが、好き嫌いは別にして、ド迫力ある作品であるのは間違いなし!)特別企画展覧会が現在進行中です。Norton美術館では“Recognition of Art by Women” シリーズを今後6年かけて年1回企画予定で、現在活躍中の女性アーティストにスポットを当てていくのだとか。その第1回目の今回、主催者側は非常に力を入れており、“是非に数人のアンサンブルで、すべて女性作曲家作品のプログラミングはできないだろうか?”と相談を受けました。

これは願ったり叶ったり・・・とEccoの面々に声を掛けてみたわけ。でもこの日程は絶対に彼女たちのスケジュールと噛み合わないぞ、と期待薄だったのだけど、なんと二人の学校休暇にぴったりとハマり、ラッキー!
・・・と、ここまで書いたら、ジャ〜ン!ちょうど日本は新年となりました!!
皆様にとって新しい年が喜びに溢れた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます・・・

さて、話は戻りますが、作風や時代の変遷にも気をくばりつつ、でもやっぱり私自身が心惹かれる作品でなくちゃ・・・と頭を捻り、二重奏、そして三重奏曲目を選び抜きました。演奏時間が限られているので選択には苦労が伴いましたが、でも、ある意味じゃ<女性による音楽・文化開拓の歴史>(大げさかな?)を聴いていただけるんじゃないか、と思います。演奏会前にもかかわらずプログラムの評判上々で、地元の音楽評論家の方やNorton関係者から称賛の辞が届き、勇気づけられています。

そうそう、肝心のプログラムですね。ヴァイオリン+ソプラノ、ヴァイオリン+ピアノ、ソプラノ+ピアノ、チェロ+ピアノ、そしてピアノ・トリオ、という内容で、取り上げる作曲家は19世紀後半から21世紀に亘り、私の大好きな Amy Beach (1867-1944) に始まり、Rebecca Clarke (1886-1979)、 Lili Bouranger (1893-1918)、そして、アメリカ女性として初めて1983年にPulitzer賞を受賞した Ellen Taaffe Zwilich (b.1939)、2003年に同賞を受賞した Jennifer Higdon (b.1962)、今大きな注目を浴びている若手作曲家であり、優れたピアニストでもある Lera Auerbach (b.1973) ・・・と多彩華麗(ホント!)なラインアップが出来上がりました。演奏者たちはコンサート数日前に遠方から集結するので、集中攻撃リハーサル(笑)となります。時間やエネルギーの分配、各自への連絡などを上手にマネージすることも音楽監督である私の役目ですので、夏場頃からいろいろな雑事に追われて続けています。でも、日程が近づき、ワクワクしてるんですよ!

お正月ぐらいゆっくりしたいな、と願っていたにもかかわらず、1月末にマイアミにあるカトリック大聖堂(Cathedral of Saint Mary)での演奏会が予定されていて、そのリハーサルを1月3日午前中にしたいのだけど・・・とピアニストのイリーナからメールあり。まったく異なる曲目なので、そちらの練習もしなくちゃならなくなり、慌ただしい新年幕開けです。こちらは<東日本大震災犠牲者に捧ぐ>コンサートとなります。
大惨事から早くも1年近くが経とうとしているのですね。犠牲者の皆様のご冥福を心より祈り、被災地の復興が少しでも進捗することを切に願っています。被災者の皆様は、寒さ厳しい中をどのように過ごされているのかと思うと胸が痛くなります。大きな力にはなれないけれど、できる限りの援助は続けていきたいと考えています。

2週間ほど前に、Norton コンサートの下準備リハーサルのため、Austin, Texas にコレットを訪れました。Austin はテキサス州の首都ですが、訪ねるのは初めて。テキサスというと、どうしても ジョン・ウェイン(今の若者には分からないかも?)の ぶっきらぼうなカウボーイを想像してしまうのですが、いやいや実に国際色豊かな洒落た都市だったので驚きました。かた〜いステーキぐらいしか無いかと思いきや、すごいグルメで、様々なタイプの一級レストランが揃い、大きな料理人養成学校はあるし、ショッピング街も趣味が良くて、品ものがよくて、感心することしきりでした。土地はいっぱい余ってる(笑)から、まだまだ発展中。大問題の不況も、ここではそれほどの影響がでていないとか。
また、この一年「大干ばつ」でテキサス一帯は大変なのですが、私の訪問中の3日間、オースティンでは ずっと霧と雨模様で、クリスマスを前にちょっと一息ついた様子でした。一番のショックはガソリン代が安いこと!フロリダやニューヨークでは1ガロン4ドル近くしてるのに、何と2ドル80セント台から3ドルちょっと・・・。まぁ、オイル生産地であるから、といえばそうですが、なんだか腑に落ちない部分があります。実に、アメリカは侮れませんね。

フロリダとオースティン間は、Fort Lauderdale Airportから直行便が飛んでいるので便利なのです。ただ、私のいるWest Palm Beach から Fort Lauderdale まで南に1時間ちょっとは下らなくてはならず、運転は大変だから TriRail というMiami まで運行している電車で行くことにしました。何年か前にはマイアミまで この電車をよく使ったのですが、時刻表通りに運行することは稀(いやはや、その“遅れ”は半端じゃない!)で、それは大変な思いをしました。でも2時間半ぐらいの道のり、電車内では読書や調べものができるし、やっぱり便利なんだな〜。今回もやっぱりお世話になることにし、時刻表を調べたのですね。

フムフム、10:06am West Palm Beach駅発‐11:17am Fort Lauderdale International Aiport 駅着。駅前に空港行バスが待っていて、約10分で空港到着か。悪くないかも・・・と思いつつ下部にある注意書きを何気なく読んだら、え〜っ!“ 電車は予定時刻より5分早く出発することがあるので、記載されている時間より10分前には駅に到着しているように・・・”だって! まったくアメリカの電車はどうなってるの!? 呆れちゃいます。
さてさて当日ですが、電車は実に正確に10:06am に到着し、1分も待たずに出発しました。

もしかすると“新しいアメリカ”が誕生しつつあるのかもしれません。ではまた!!


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