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Impromptu 純子の思いつくままに
  ≪夏の盛りに・・・≫  ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

2010年7月14日 記

  ついに一年の半分が過ぎてしまい、真夏に突入です。お変わりありませんか? ご無沙汰ばかり繰り返しているので、今更お詫びも言い訳もしづらくなっちゃって・・・まるで何事もなかったかのようなフリをするしかないかな?・・・って感じです(苦笑)。

つい先日までアメリカでは熱波が4,5日続き、ジリジリと焼け付くような太陽に気温はグングンと上昇。あまりに照り返しが強いので、“一体何度あるのかな?” と寒暖計を庭先に出してみましたら、5分もたたないうちに36度を記録! その日、マンハッタンでは40度あったそうな・・・なんて言っても、いまや日本の皆様にとって大したニュースではないかもしれませんね(笑)。

6月来、雨らしい雨も降らなかったから芝生も庭木も枯渇状態で、水撒きしなきゃと思っていた矢先、水道局から“水の使用は控えめに。スプリンクラーなどは止めましょう(我が家は改築の際にスプリンクラー・システムを取り付けることも考えたのですが、予算が足りなくて・・・グスッ・・・諦めました)。警告を無視した場合は配水中止などのキビシイ処置を取ります”なんて電話が3,4回掛かってきました。おやおや、これは深刻な水不足なのだ、と心配していたのですが、様子は打って変わり、昨日、今日と雷を伴った暴風雨に見舞われました。たわわに花をつけた紫陽花は叩きつけるような大雨に耐え切れず、地面に這いつくばってしまいました。本当に極端な天候で呆れ返りますね。

さて、日本では参院選が終わり、民主党政権に対する国民のまなざしはキビシさを増しているようですが、まぁそれも当然ですよね。なにせ鳩山政権が菅政権に交代しても“迷走”はとどまらず、ましてや彼らは自分たちの実力の無さを認識する様子もないのですから話になりません。<理想>を語るのは簡単だけど、さて、それを具体化しようというなら大変な覚悟が必要だし、並の勉強や努力、準備じゃおっつかない − そんなこと、ある程度の人生体験を積んでりゃ分かるでしょうに・・・。とにかく政治は<現実>とのすり合わせ・闘いであって、<理想>だけでは運ばない。“甘い夢”ばかり見続ける文学青年的政治家が多くて本当に疲れますねぇ。こんな「素人集団」に“為されるがまま”の国民ばかりじゃ日本もお先真っ暗・・・と嘆かわしい思いに駆られていたのであります。

先日たまたま、インターネットで調べものをしていたら、北野たけしさんのインタビュー記事に出くわしました。彼のことは私にとって「よく分からない存在」でしかなかったのだけど、今の世の中の風潮に媚びない彼の見解は小気味よく、フンフン、私も同感 − なんて思わず頷いてました。特に印象に残ったのは“首相たるものは一国の命運を左右させることも可能な政治力を持ち得るのだから、きれいごとを言って「小善人」やったって何の役にも立たない。どうせ善人を目指すのなら(暗殺されたインドの)ガンジー首相のような「大善人」の域まで行かなくっちゃね・・・”という意見(読み流したから正確には記憶してませんので、ご了承を)。まさにそのとおり!ですね。 それにしても近頃は、「小善人」どころか「偽善人」も多いようで、クワバラ、クワバラなのであります。

過日、アメリカ人友人が、”We have a horrible president!” と息巻いてました。“オバマさんの何処が悪いの?”と聞いたら”He spends too much money. He just spends and spends… we will go broke.(破産するよ)” というわけ。う〜ん、何処かできいたような話だなぁ、と。要は“すべての国民の生活を安定させよう”− という発想だと、貧困層救済のためとかナンダカンダとかに「有り金」をどんどん注ぎ込むことになる。そして「有り金」が足りなきゃ借金、という恐ろしいスパイラルに巻き込まれるわけで、不況といわれる今、世界中の国々が同じパターンに喘いでいるといえますね。更に、地震やハリケーンなどの自然災害や、ニューオリンズ沖でのBPによる「海中油田漏れ」なんていう人災が襲って来るのだから、いやはや大変な世の中になりました。

こちらアメリカでは7月4日の「独立記念日」が終わったところですが、不況〜〜、と叫ばれているにもかかわらず様々なイベントは一層派手に、巨大化していく一方に思えます。
恒例の"Macy’s Independence Day Fireworks" (*注:Macy’s は老舗のデパート)では、これまでのマンハッタン島東側を流れるEast River サイトから西側Hudson Riverミッドタウン河岸に場所を移し、6基の barge (はしけ)から小一時間にわたり実に華やかな花火の打ち上げが行われました。そしてそれを大々的にTV中継がカバーしていました。こんな派手なイベントを繰り広げて、Macy’s は潰れないのかしら、なんて余計な心配(だってデパートに行ったってガラガラ・・・)しちゃいましたけど、群集はそんなことお構いなく星条旗振り振り、大いに盛り上がっていました。不況で不安・不満が満載とくりゃ、派手に騒がにゃ気分が落ち込むばかりじゃよ・・・というわけかもしれませんが、花火の「振り付け」に使われる音楽は当然ながら『God bless America』とか『星条旗よ、永遠なれ』や(南北戦争時代の)士気を高揚させる曲などが多く、大写しにされる星条旗と制服に身を包んだ若き兵士たちの姿に複雑な思いが過ぎりました。“アメリカ合衆国を守るため”と信じて、イラクやアフガンの地で戦う彼ら。尊い命と引替えに一体何が得られるのか。もしアメリカがまったく動かなかったら、世界の力の構図は変わっていたのだろうか。<平和>を掴むために戦う・・・その闘いは<理想>を現実のものとするため。一見矛盾してるようだけど、それが現実。やはり「政治」は“きれいごと”では済まされません。

昨年のエッセィに書きましたけど、今夏も<蛍の饗宴>が我が家の庭で繰り広げられています。夕暮れ時になると(夏時間だから午後8時半ごろ)フワフワと芝生から蛍が舞い上がり始めます。一瞬光っては消え、また光っては消え・・・という幻想的な世界が薄墨色の庭中に広がるのです。この光の夢幻を見るためにだけでも我が家を訪れていただく価値あり、ですね。もっとも、きっと日本ではこんな風景はここかしこにあり、かもしれませんが・・・。今年は我が家の楽しみが もうひとつ増えました。うさぎちゃんが再来(理由は何だか分からないけど、この2,3年ご無沙汰してました)するようになったのです。早朝や夕方になると同じ一匹と思えるウサ子が庭先でモクモクと草を食べています。突然どこからともしれず現れるので、もしかすると我が家のデッキの下にお住まいかも、と嬉しい気分です。もう少し美味しい(ウサ子の好物の)草花でも植えてあげようかなぁ。

では又。暑い最中くれぐれもご自愛くださいね!
次回は5月に訪れた青森のこと、写真入りでお届けしたいと思っていまぁ〜す。


7月23日 追記:

この8月15日にニューヨーク州サウスハンプトンにて、とてもきれいな声の持ち主の若手ソプラノ歌手、Sarah Moulton とジョイント・コンサートをすることになりました。

その案内状が出来上がってきました。けっこうお洒落な出来なので、ご披露させて頂いちゃおう・・・っというわけです。 ピアノ伴奏は、やはり若手新進のオペラ指揮者、Wei-En Hsuです。先日リハーサルがあったのですが、指揮者(彼はジュリアード音楽院ピアノ科卒)というのは曲の全体像を把握する力に大変秀でているようで、音楽に立体感が出るし、流れが沈滞することがなくて、演奏がすごく楽しい!

プログラムはJ.S.バッハのカンタータ(ソプラノ + ヴァイオリン)に始まり、メンデルスゾーンの歌曲、E.イザイの『悲劇的な詩』Op.12、そして、アメリカの作品を・・・ということで、今年生誕百年を迎えたサミュエル・バーバー や A.ビーチの作品など、独唱・独奏・声とヴァイオリンのデュオ、といった曲目で構成してみました。

音楽的バランスも変化に富んでおり上々、プログラムの流れもよくて、とっても素敵なプログラムが出来た・・・と自己満悦(笑)であります。たまたまニューヨーク近辺を訪れておられたら(アハハ・・・そんなことあり得るかな?)聴きにいらしてくださいね。

興味をお持ちの方は、www.southamptonculturalcenter.org で調べてくださいませ。

酷暑の最中、くれぐれもお大事に!!


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